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指針
「指針」
きっと離れてしまうとわかっていたーー。
会った瞬間から、スローモーションのように恋に落ちた。
触れた高揚感は、確かなもの。
それでもわかっていた。
一瞬の快楽 一時だけの安穏ということをじかに与えてくれた大切な人。
それでも確かなもの、自分自身の奥底に刻む指針をくれた愛おしい人。
大義名分だけではなく、心に灯る大事な人を守る確かなこと。
それを胸奥に、凛と歩めと言う。
君のいない世界で、甘い残香だけ這わせて。
目を背けるなと、記憶の中の君は微笑む。
今でも会いたい。
その言葉だけは否定しないで欲しい。
魅縛能力だけではなく、切たる想いは積み重なり、決して消えはしない。
優艶な面影は、何があっても消えてはなくならない。
たとえ他の人と歩む道となっても、それだけは変わらないから。
自分が選んだ道。
君と同じ志と、愛おしい想いだけは、忘れることはないのだからーー。
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