石像の村と巫女

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「ああ、それは入り口に祀るように」  私の指示に従って、村人たちは石像を配置していく。  この村に初めて来た者は、石像の多さに首を傾げるだろう。しかし、ここではそれが普通だった。巫女は石像を作り、祀って祈るのが仕事だ。巫女が祈りを捧げるたびに、石像は増えていく。古くなり、欠けたりしたものは石像の墓場と呼ばれる場所で眠りにつく。石像が傷むよりも新たに作られる石像が遥かに多いため、この村は石像の村と呼ばれていた。  人口よりも石像が多いのは昔からだ。歴代の巫女が、祈りを捧げ続けた証でもある。  巫女が祈りを捧げるのは、この村の安全のためだ。村の周辺には危険生物も多く、冒険者もよく立ち寄る。冒険者も良い人ばかりではなく村人に害を与える者もいるため、巫女は祈りを捧げ続けなければならない。祈りを捧げることで、神は巫女に村を守る力を与えるのだ。
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