前書き

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前書き

 「小説 ヴォツェック」  オペラを小説風にした作品です。  今回は、アルバン・ベルク作「ヴォツェック」を題材にして書きました。 「ヴォツェック」は怖くて不気味なオペラです。貧しい兵士が人体実験により精神状態に異常をきたし、愛人を殺害して自分も死ぬという内容です。しかも、音楽は不協和音の鳴り響く無調音楽です。とはいえ、百年ほど前の作品なのでロマン派の流れをくむ無調音楽といえます。歌唱方法は歌うというより、叫びに近い絶叫調です。アリアはありません。演出によっては歌手が白塗りだったり、生首が出てきたりと、ほとんどホラー映画の世界になります。  初演は1925年、歌詞はドイツで書かれています。  この小説では歌詞はできるだけ原作に忠実に訳しましたが、短い歌詞には意味が通じるように補足した部分があります。    オペラのそれぞれの幕は **(wozzeck 1)** と表記しました。  ◆印は場を表します。 『』(にじゅうかっこ)内の歌詞、台詞は原作のドイツ語を翻訳したものです。  例 『呪われているんだ・・・あの光が見えるか。毒キノコが光ってる。夜になるとあそこに首が転がっている。ある男がそれを拾って三日後に棺桶に入れられた』 『(前略)科学に革命を起こしてみせる。蛋白質、脂肪、炭水化物。つまりはオキシアルデヒドアンヒドリーデだ』  
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