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「え・・・?」 驚きながら聞き返すと先生はもっと苦しそうに顔を歪ませた。 「すげー気持ち良くしてやるから。 今までのなんて全部一瞬で上書きさせてやるから。」 「上書き・・・?」 「他の男とのことなんて全部上書きする。」 “他の男”なんていたことがないのに。 今まで彼氏がいたことがないと昨日言ったのに、先生は覚えていないのかそんなことを言ってくる。 でも・・・ “先生”から“他の男”と言われて思い出してしまった。 “朝人”のことを思い出してしまった。 私に絶対にこんなことをしないような“朝人”のことを思い出し、泣きそうになるのを我慢しながら先生の胸をもう1度押した。 「上書きなんてしなくていいですから・・・。」 「・・・好きな男だった?」 「はい・・・。」 「お前やっぱりガキだな。 そこはちゃんとしてからに・・・」 先生が言葉を切ってから小さく笑った。 私のことを見下ろしながら、私のことをバカにしたような顔で見下ろした。 そして・・・ 「俺と付き合って。」 先生が・・・ 先生が、そんなことを私に言ってきて・・・。 昨日再会したばかりの先生が、5年前は私のことを全然そういう目で見ていなかった先生が、そんなことを言ってきて・・・。 「千寿子・・・やりたい・・・。 お前とこのままセックスしたい・・・。」 苦しそうに顔を歪めながらそう囁いてきて、その言葉を聞いて分かった。 先生は彼女としかエッチをしない人だから、私にそう言ってきたのだと。 私は料理を作る時に思ってしまった。 “先生から少しだけでも大人の女に見られたい” そう思ってしまったから、先生は私のことを大人の女として見てしまったのかもしれない。 だってご飯を食べたら急にこうなった。 先生は毎日エッチをしていたというくらいの人なのに、今は彼女がいないそうだから。 「俺・・・俺、お前のことすげー好きだから。 今すぐ結婚したいくらいに好きだから。」 必死な顔でそんなことを言い繕ってくる先生。 「毎日お前の飯が食いたいくらい、お前のことがすげー好きだから。」 それを聞いて私は小さく笑った。 「先生は私が作るご飯が大好きですからね。」 先生が私のことを好きという気持ちは嘘ではない。 それは分かる、それは泣きたくなるくらいに分かる。 だからこそ・・・ 「私はしたくない・・・。」 私が料理を作りながら思ってしまったこと。 それが先生の下半身にパワーをつけてしまったのだと分かる。 こんな流れのまま先生とエッチをしたくないと思った。 この場だけの性欲解消の為に付き合いエッチをするのではなく、ちゃんと私のことを好きになってからして欲しいと思った。 そう思って・・・ そう思ったから・・・ 「泣くなよ・・・。」 我慢出来ずに泣いてしまった私に、先生はそう言ってきた。
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