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9月末日の前日 「先生、今日の夜こそエッチしてくれますか?」 数日前から夜ご飯を私の実家の1階で食べるようになった先生に今日も言う。 夜11時過ぎ、疲れた顔で2階のブザーを鳴らした先生は、私の夜ご飯を食べて凄く元気になった顔をしている。 その顔で私のことを少しだけ睨みながらカウンターの向こう側から見てきた。 「佐伯さんと張り合う為に俺の下半身を使おうとしてくんな!!」 「だから違うって!!」 「じゃあ何なんだよ!?」 「だから!!私は先生のことが好きだから!!」 「それやめろよな!! そう言えば俺が喜んでやると思ってんのかよ!? 俺のこと舐めんなよ!?」 数日前に佐伯さんと会った先生。 私のことは1度も見ることなく、羽鳥さんのこともほとんど見ることなく、羽鳥さんとの打ち合わせ中はずっと佐伯さんのことを真っ直ぐと見ていた先生。 先生が佐伯さんと付き合ってしまったらもう私と付き合ってくれることはない。 見た目は素晴らしく良いけれどめちゃくちゃ性格の悪い佐伯さんと別れることになったとしても、佐伯さんの10年前みたいな私のことを大人の女として見てくれることはないはずで。 「で、その佐伯さんは元気なのかよ? 会社来てる?」 「そんなこと毎日私に聞いてこないでくださいよ!!」 「・・・明日ちょっと電話してみるか。」 「佐伯さんに!?」 「佐伯さんに。」 「何で!?連絡先交換したの!?いつ!?」 「個人の連絡先にじゃねーよ。」 「何で佐伯さんに連絡するの!?嫌だ!!」 素直にそう叫ぶと、先生が意地悪な顔で私のことを見てきた。 「独占欲?」 「そうだよ、独占欲!!」 「どれだけ佐伯さんと仲悪いんだよ!! 俺とセックスまでしてこようとするとかどんな張り合い方だよ。」 「だからそういうわけじゃないってば!! 私は先生のことが好きなの・・・!!」 「じゃあ・・・俺と付き合う?」
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