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「そんなに怒らないでよ。 23歳で処女なんて珍しいわけじゃないし。」 廊下を歩きながら佐伯さんがそう言ってくるけれど、あんなの怒らない方がおかしい。 「若松さんとかいいんじゃない? 若松さん、アナタのこと良いなと思ってるみたいだし。 松戸先生ほどではないけど若松さんだって格好良い見た目だし。 性格は松戸先生とは結構違うだろうけど、2歳年上で丁度良いんじゃない?」 「松戸先生とは正反対みたいな人だよね、若松さんって。 ノリも良くて優しいし頼れるお兄さんって感じ。 そういう佐伯さんはどんな人がタイプなの? 年上とか・・・アリ?」 「そうだね、年上は良いね。 うちは母子家庭だし、パパみたいな人がタイプかな。」 「それって・・・結構なオジサンってこと!?」 「そうなのかな。 本当にパパと結婚したいくらいパパのことが好きだし、良いなと思った初めてのお兄さんも結構年上だった。」 それを聞いて、今からこの部屋に入るのがめちゃくちゃ恐くなってきた。 めちゃくちゃ、めちゃくちゃ恐くなってきて・・・ 目の前にある扉の前で固まっていると、佐伯さんは横からサッと扉の取っ手に手を掛け・・・ 先生が待っている部屋の扉を開けた。 昨日の夜も私とエッチをしてくれなかった先生がいる部屋の扉を。 今朝も私の朝ご飯を食べた先生がいる部屋の扉を。 朝は早過ぎるし夜も遅めなので、Tシャツとハーフパンツ姿の私ばかり見ている先生がいる部屋の扉を。 再会した時はリクルートスーツ、この前はダメ出しされた大人っぽいワンピース、今日は大人っぽいけれど私にも似合っているであろうワンピース。 佐伯さんと同じだけど、佐伯さんより似合っているはずはないけれど、私のことを少しだけでも大人の女として見てくれれば。 結構な年上好きだった佐伯さんと並んで、佐伯さんと同じワンピースを着て、入った。
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