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翌朝
今日も5時の目覚ましで起き、身体をゆっくりと起こした。
朝人の部屋に行くようになってからは毎朝5時に起き、それから出勤する準備をしてから食材を持ち、5時半にはここを出るようにしていた。
まだ寝惚けている頭と身体をゆっくりと動かしながら、そろそろ11月も終わる季節にパジャマ姿で歩き出す。
「寒い・・・。」
この古い木造の家は凄く寒い。
朝5時という時間だし更に寒い。
早く準備をして朝人の部屋に行き、この寒い身体と寒い心をどうにかしなければ・・・。
「私のことが好きって・・・女としてってことだよね・・・?
私のご飯だけが好きっていうことじゃないよね・・・?」
自分自身に確認するように呟いた。
再会してからの“先生”の言動を思い返しながら。
そしたらその時、2階部分のブザーが鳴った。
「こんな時間に何だろう?」
首を傾げながらも2階の玄関へと向かい扉を開いた。
そしたら・・・
そしたら、いた。
「朝人・・・。」
朝の5時、ボサボサの髪の毛に黒縁メガネ、スウェットを着て髭が伸びている朝人が。
朝1番のこの時間に、めちゃくちゃ怒った顔で私のことを見詰めてきた。
「俺・・・やっぱり嫌だ。
俺はお前の幸せを考えられるくらい大人になれない。
俺はお前の前ではガキだから・・・。
やっぱり無理、嫌だ、めちゃくちゃ無理、めちゃくちゃ嫌だ、死ぬほど無理だし死ぬほど嫌だ。」
「なにそれ?朝からどうしたの?」
扉を開けた瞬間にそんなことを言われ笑っていると、朝人はめ~ちゃくちゃ怒った顔になった。
「今誰かいる?」
「こんな朝1番にいるわけないでしょ!」
「マジか・・・。
いや、お前と別れた後にもう1件訪問があって、お前の会社にいるクソガキから喧嘩売られたんだよな。」
「朝人に喧嘩?誰?」
「なんでもねーよ・・・いや、何でもなくねーよ!!」
「何?どうしたの?」
様子のおかしい朝人に笑いながら、2階の玄関に入るように促した。
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