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先生がそう言って・・・
そんなことを言ってきて・・・
「なに・・・っ？やめてよ・・・！！」
私は叫びながら、私のネックレスを引っ張る先生の手を掴んだ。
そしたら、その瞬間・・・
ﾌﾞﾁ──────────....と小さな音と小さな衝撃を感じ・・・
私の首からネックレスの小さな重みが消えた。
“酷い！！”
そう言おうと口を開いたら、私よりも先に先生が言葉を出した。
「お前が大人の女になったら、何百万もするネックレスを俺が買ってやるよ。
ネックレスだろうがブレスレットだろうが俺が買ってやるよ。」
「何それ・・・。
酷いんだけど・・・こんなに大人っぽいネックレス、初めてつけたのに・・・。
それにこのネックレス・・・」
「千寿子。」
“若松さんが私のことをイメージして作ってくれたのに”
そう言おうとした時、先生に私の名前を呼ばれた。
怖いくらい真剣な顔で私を見下ろし、切れたネックレスをギュッと握り締めた手を下に下ろしながら先生がまた口を開いた。
「お前が大人の女になった時は何百万の指輪だろうが俺が買ってやるよ。
23なんてまだまだガキだからな、可哀想な奴。
こんな安物のネックレスと服をこんな時間まで喜んで着て、マジで可哀想な奴だよ、お前。」
「もう・・・いいよ、分かった・・・。
そうだよ、私はガキだよ・・・。
見た目もこんなんだし、中身もガキだし、この歳にもなって彼氏もいないガキだよ、私は・・・。」
少しでも大人っぽく見えるよう、先生に少しだけでも大人の女に見て貰えるよう、新卒の私にしては頑張って買ったワンピース、そして初めての大人っぽいネックレス。
23歳の誕生日の日、私は先生にこの姿を見て貰いたくてこの姿のままずっと待っていた。
佐伯さんと一緒に消えてしまった後、その日の夜も翌日の朝もここに来ることはなかった先生のことをずっと待っていた。
私はずっとずっと待っていた。
「佐伯さんの子どもの頃みたいなガキだよ、どうせ・・・。」
先生は佐伯さんを選んだ。
同じワンピースを着ていたのに。
私だって佐伯さんと同じワンピースを着ていたのに。
私の姿はチラッとしか見ていなかった。
チラッとしか見てくれなかった。
それに今だってこんなに酷いことを言われて・・・。
誕生日の日には来てくれなくて、“おめでとう”も言ってくれなくて、こんな酷いことを言ってきて・・・。
先生の為に気合いを入れてこの格好をしていた私に、先生はこんなに酷いことを言ってきて・・・。
そのうえ、何故かめちゃくちゃ驚いた顔で私のことを見下ろしてきている。
「お前・・・彼氏出来てないの・・・？」
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