雨乞い

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 この一件で私とあきとさんの距離は急激に縮まった。でも、いろいろと知ってしまったからこそ、いきなり二人きりで作業というのは平静を保てそうにない。同い年でお互いに独身という事実は、私に淡い期待を抱かせるに十分だからだ。  その日の夜、ベッドの中で私はー雨よ降れーと願いながら眠りについた。  翌朝、余りのうるささに目覚ましが鳴る前に目が覚めた。窓を叩く大きな雨粒の音が室内まで響いている。  願いが届いたのだ。だが、いざ雨に降られてみると、少しだけ残念に思う自分がそこにいた。
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