目が覚めたところ

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目が覚めたところ

どれくらい眠っていたのだろう?康則は辺りを見回していた。 「良かった目が覚めたのね。街の壊れた塀のところで倒れていたからここに連れて来たの。あなたが倒れてたところに空陸兼用車が壊れてバラバラになってたわ。あなた墜落したのね。命だけでも助かって良かったわ。運がいいのね。腕の骨が折れてるだけで他に異常なかったのよ。身体丈夫なのね。ところであなたのお名前は?私は伊藤真理です。この病院の看護師をしています」 「あなたが私を助けてくださったんですね。ありがとうございます。私の名前は前田康則と言います。ところでここ、本当に病院ですか?私には済みません。病院には見えないんです」  伊藤は言った「そう、確かに見えないわね。でも簡易病院しかこの星はないのよ。奴らがいきなり襲って来て全てを奪われてしまったの。本当に恐ろしい。奴らは私達を捕まえて食糧にするのよ私の恋人は私を守って私の代わりに捕まえられて食べられてしまったわ。  康則さんあなたは早くここから逃げた方がいい。これ、地図なんだけどね。このテントの前の細い道を真っ直ぐ行けば空陸兼用車を作ってるところがあるからその車で早くここから逃げて奴らに食べられないように。康則さん奴らは康則さんが思ってるよりずっと恐ろしい人間なの。だから早く逃げて」  康則は伊藤にそう言われ、何度も頭を下げると簡易病院のテントから抜け出した。  伊藤は自分達も生活が大変だというのにわずかなお金を見ず知らずの康則に渡した。  康則は伊藤に促され恐ろしい人物がどんな人間なのかも聞かずにテントから出た。   テントから出ると康則は驚く光景を目の前で目撃した。 「何で?いったいどうなってるんだ?」 大人が大人数で子供を追いかけている。そして大人達が持っている武器あれで子供を殺そうというのか?この大人達がこの星から全てを奪った他の星から来た人間?まだ子供だというのに大の大人があんなに大勢で追いかけるなんて。  子供達を助けるのが僕が助けてもらった恩返しになる。   康則は大人達に言った「何してるんだ!大の大人が大勢で子供を追いかけて子供達が震えてるじゃないか?康則は大勢の大人達の前に出て言った。「子供達もう大丈夫だよ。早く逃げなさい」 大人達は康則に対して敵意をむき出しにしたような目で康則をじっと見てこう言った。  「全く誰が助けたのか?助けないで俺達が放置したのに余計な事を」 「俺達の足を引っ張る存在にやっぱりなったか?」 康則は聞いた。「何で子供を追いかけるんだ。 あんなに大勢で」 大人達は康則に言った。「あいつらは子供の顔をした悪魔だ。俺達の仲間はあいつらに食べられ たんだよ。大人になったあいつらの親にね。だから子供のうちから殺しておくんだよ」 康則は震えている子供を大勢で追いかけている大人の話を信じられずにいた。
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