思わぬ妊娠

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思わぬ妊娠

 ミキは家に帰ってからベットに籠った。  突然すぎる。この予想もしない展開。もうなにも手につかない。  体だけの関係でいいなんて、嘘。  そうやって自分を誤魔化してただけ。本当は、苦しくなるくらい、碧斗の事が…スキ…。  そんなの、最初から気づいてた。  だけど、そうじゃないふりをして、そうじゃない事にしてた。  じゃないと碧斗はきっと離れていくと思ったから…。  この関係が終わることが怖かった。だから。自分も体だけの関係でいたいなんて、心にもないことを言って、そういう女を演じてきた…。  そんな碧斗が離れていく…。  とうとうこの関係が終わる時がきた…。  ミキは次の日、結局仕事は休んだ。  体調不良だと嘘をついた。  失恋のためだとは言えないから…。  急に碧斗とあんなふうになって疎遠になってもう、ひと月近くたつ。まだ別れたつもりはない。  だって、嫌われるようなことをしたつもりもないし、喧嘩だってしてない。  なんで?別れたくない。  なのに昨日はっきりと、碧斗はもう会わないってメッセージを寄越してきた。  やっぱりあたし、ふられたんだ…。  涙が止まらない。  仕事なんかいく気になれない。  だから、仕事を初めてズル休みした。仮病をつかった。  夜も眠れず一晩中泣いた。  からだがだるい…。  だけど…。  それは、仮病なんかじゃ、なくなってしまった…。  そんな状況ですっかり忘れていたけど。  みぞおちの辺りがムカムカする。  口のなかも苦いものが込み上げる。  あれ?なんか、やっぱり、体調おかしくない?  熱を測ったら微熱がある。  そうだ…。  カレンダーをみる。  やっぱり来てない。  今月になって来るはずのものが…。  え?まさか?  重い体をなんとか起こし、ドラッグストアにむかった。  トイレで覚悟を決めて検査薬を使うと。  赤いラインが2本くっきりと現れた。  やっぱり!  ミキはワナワナと震える体を自分自信で抱き締めた。  碧斗との新しい命が私のなかに宿ってる…。  心当たりがあるのはあの時だ。  あの日、碧斗の様子が少しおかしかった日。  最後にミキが碧斗に抱かれた日。  いつだってそうだった。  碧斗はミキにされるがまま、いつだって碧斗の方がミキに抱かれていた…。  碧斗が自分から能動的になることは決してなかった。  いつだって碧斗は受け身だった。  だけど…。  あの日だけは少しだけ違った。  
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