20人が本棚に入れています
本棚に追加
思わぬ妊娠
ミキは家に帰ってからベットに籠った。
突然すぎる。この予想もしない展開。もうなにも手につかない。
体だけの関係でいいなんて、嘘。
そうやって自分を誤魔化してただけ。本当は、苦しくなるくらい、碧斗の事が…スキ…。
そんなの、最初から気づいてた。
だけど、そうじゃないふりをして、そうじゃない事にしてた。
じゃないと碧斗はきっと離れていくと思ったから…。
この関係が終わることが怖かった。だから。自分も体だけの関係でいたいなんて、心にもないことを言って、そういう女を演じてきた…。
そんな碧斗が離れていく…。
とうとうこの関係が終わる時がきた…。
ミキは次の日、結局仕事は休んだ。
体調不良だと嘘をついた。
失恋のためだとは言えないから…。
急に碧斗とあんなふうになって疎遠になってもう、ひと月近くたつ。まだ別れたつもりはない。
だって、嫌われるようなことをしたつもりもないし、喧嘩だってしてない。
なんで?別れたくない。
なのに昨日はっきりと、碧斗はもう会わないってメッセージを寄越してきた。
やっぱりあたし、ふられたんだ…。
涙が止まらない。
仕事なんかいく気になれない。
だから、仕事を初めてズル休みした。仮病をつかった。
夜も眠れず一晩中泣いた。
からだがだるい…。
だけど…。
それは、仮病なんかじゃ、なくなってしまった…。
そんな状況ですっかり忘れていたけど。
みぞおちの辺りがムカムカする。
口のなかも苦いものが込み上げる。
あれ?なんか、やっぱり、体調おかしくない?
熱を測ったら微熱がある。
そうだ…。
カレンダーをみる。
やっぱり来てない。
今月になって来るはずのものが…。
え?まさか?
重い体をなんとか起こし、ドラッグストアにむかった。
トイレで覚悟を決めて検査薬を使うと。
赤いラインが2本くっきりと現れた。
やっぱり!
ミキはワナワナと震える体を自分自信で抱き締めた。
碧斗との新しい命が私のなかに宿ってる…。
心当たりがあるのはあの時だ。
あの日、碧斗の様子が少しおかしかった日。
最後にミキが碧斗に抱かれた日。
いつだってそうだった。
碧斗はミキにされるがまま、いつだって碧斗の方がミキに抱かれていた…。
碧斗が自分から能動的になることは決してなかった。
いつだって碧斗は受け身だった。
だけど…。
あの日だけは少しだけ違った。
最初のコメントを投稿しよう!