真壁家の跡取りとその嫁

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 ミキのつわりが結構つらそうだ。  碧斗も、不安な顔をしながら、ミキを気遣った。  重い荷物を持たないように気を利かせてくれたり。  からだを冷やさないように気遣ってくれたり。  けれど…。  二人が繋がることはない。身体はもちろん、その心も…。  そんな二人が同じ屋根のしたにいながらも、お互いの距離を感じる生活が続く。  碧斗は相変わらず仕事だといっては大河の待つマンションへ足しげく通った。  そこに相変わらずのメンバーが顔を出した。  二人は気がつけばみんなの目を盗んで二人は手を繋ぎあってる。甘えているのは一方的に碧斗の方。大河はそれに応える形で寄り添う。  みんな恥ずかしくて見ていられない。お互いに見て見ぬふりをしてる。 目の前でイチャイチャされるのは、正直キツイ。  碧斗が大河を本当に好きなのは誰が見ても明らかだし、大河が深い愛でそれを受け止めているのも見てわかる。  気がつけば二人は視線を絡めあってる。ちょっと目を離したらその隙に二人でキスでもし始めそうで、なんだかみんな居心地が悪くて仕方ない。 「お前らいつからそんなことに、なってんだよ…。  目の前でそんなことされたら俺ら、どうすりゃいい?」  恒介が口ではそう言いながらもその表情はすごく嬉しそうに幸せ一杯の二人を見守ってる。  隣で誠也も静かに微笑む。  いつも通り、なんてことないような顔をしてる。みんな今まで通り、お互いに親友として…。  恒介と誠也がプレゼントを持ってきた。少し早いけど、お祝いだと言って。  天蓋付きのベビーベットだった。  お伽話か外国の王宮の映画に出てきそうな豪華なやつだ。 「このシンプルなインテリアのマンションには少々不釣り合いだな。」 「ありがとう。これは向こうの家で使わせて貰うよ。まだ、子供部屋は無いけどね…。」 「まだ産まれてきてもいないのに早すぎだろ…」  大河が気が早いとでも言いたげに二人に突っ込む。 「ミキとはこの先どうするんだ?」  誠也が二人になんとなく聞いてみた。 「子供のために一旦籍を入れただけだよ。時期を見て離婚する。だってボクたち、愛し合ってないし。」 「それで、ミキの方は納得した?」  恒介が心配そうな顔をした。 「だってミキがそう言ったんだ。だから産ませてくれって。」 「まあ、せっかく授かった命なんだからさ。二人で産むっていう方の選択したんならね…」  誠也が穏やかにその場を納めた。
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