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「真織~、今日部活パス……お腹痛いから……ごめんね」
「大丈夫?例のアレ?」
「うん、いつものアレ……」
私は生理痛がひどくない体質で、奈々は毎月ひどい。辛そうな奈々を見ていると、女ってホントに不便だと思ってしまう。子供を産む為の排卵後に、なんであんなに苦しまなければならないのか?
しかも子供を産む時って……死ぬほど痛いらしい。神様は女の子に厳しいし、男の子には甘い。いつだって不公平だ。
奈々を見送り、文芸部が使用する図書室へ向かう。正直、奈々と一緒に帰れば良かった。私にとって文芸部って、退屈なだけの時間だから。
「あれ?片割れは?」
「体調不良。今日は休むって」
「へぇ……佐藤は休まないんだ?」
小難しいタイトルの本を手に、私に嫌味を言ってくるのが趣味の部長は、口元に薄ら笑いを浮かべている。奈々には優等生ぶった態度で優しい癖に、私には嫌味ばかり言ってくる。
「うるさい、二重人格」
文芸部部長、高坂一馬。窓から入る西日が、彼の柔らかそうな髪にあたり、光のオーラを発していた。それだけできっとキャーキャー言われる運命の顔をお持ちのようで。
王子さまだとか
王子さまだとか
王子さまだとか
「今日はコレ読破して。いい加減、短編くらい書いてみせて、コミック調じゃなくてさ」
私に文才などないと、いつも言ってるよね。
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