エピローグ

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 教祖が不審に思って酒樽に近づいたその瞬間に祝いの席のキャンドルを酒樽へと投げつけた。中身をガソリンに入れ替えている酒樽が燃え上がる。腰を抜かして尻餅をついた教祖を隠し持っていたナイフで一突きした。 「マユ......何故......」 「天国、いえ。三途への道はおひとりでは可哀想だから」  私を取り押さえようとする司祭も、参加者も、もう助かりはしない。準備という名目で数日間ハウスの周りを細工した。密室になるように仕組んだ窓も、時間によって会場に撒かれるように細工したガソリンも、身体の動きを鈍くするウェルカムドリンクも、全部全部、私からのプレゼントだ。 「このハウスでは与えることが善だと言われたので、これは私から皆様へのプレゼントーー苦痛と道連れです」  キャンドルを手に持って、火を付けていく。誰かの平穏を平気で踏み躙るような者を生かしておくわけにはいかないのだ。 「皆! 外へ!」 「熱い!!」  妹達も、このハウスも、教祖も司祭も寄付者も信者も何もかもを私は許さない。燃え盛るハウスの中で私は呟いた。 「私の道はここまでだ」 おわり
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