エピローグ

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エピローグ

 白無垢に赤い紅を差した私は、こんな日にも関わらずとても美しく見えた。18歳の頃と同じくらいまで伸びた黒髪は、ユカリが見たらまた綺麗だと言ってくれるだろうか。  コンコンというノックの後に、返事も確認せずに控室に入って来たのは司祭だ。 「必ず戻って来てくれると思っていましたよ! 聖女マユ、20歳の誕生日おめでとう。それに嫁入りのお祝いとしてこんなにもお酒の樽を持って来てくれるなんて」 「私は私が思う正しき道を歩みきろうと思うのです」  ここに来るまでに少しだけ準備に時間が掛かってしまった。きっと、ケイは私の選択を是とはしないだろう。 (歩んだ道を忘れることは出来ない)  私は教祖の愛人になる条件として、ハウスでの自己プロデュース挙式を条件とした。一生に一度の晴れ舞台で着飾った姿を妹達に見せたいと告げると、ダンメル教団の面々は喜んで駆けつけてくれた。教祖の10人を超える妻まで勢揃いである。 ***  持ち込んだ酒の鏡開き。ダンメル教団の祝事は日本酒の酒樽の山に囲まれて行う。これは教祖が無類の酒好きであるからだ。  厳かに進む式の中、最早老人に近い教祖が木槌を叩いて酒樽の蓋を開ける。 「む? なんだか、匂いや色がおかしくはないか?」
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