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なぜ母がそんなに慌て急いだのか、このとき夏希は知らなかった。アクセルを目一杯踏み、ウインドウの景色が吹っ飛んでいく。
アッと母の声が上がった次の瞬間、衝撃と共に世界がひっくり返った。次に轟音。暗いのに眩しい。熱いのに身体は冷えていく。
何かに挟まれて動けない――そこから太い腕に引っ張り出される最中に、もう一度爆音がした。誰かにくるまれたまま、夏希の体は大きく吹っ飛ばされた。
結婚式場に向かう途中だった。
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