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人間になった宇宙人 1
(また会えたね)
1
春の朝、柔らかく降り注ぐ日差しと
舞い散る桜の花びらを浴びながら、元気に自転車を走らす少女がいる。高校2年生になった夏川雅子だ。
今日は始業式。
おかっぱの髪型、顔にはニキビとそばかす。
まだまだ、女性の色香を感じさせない健康的な女の子。
「早く行かないと、遅刻する!」
と、誰も居ない路を、一人自転車を走らす雅子
彼女の通う高校は、何故か町のはずれにあり、おまけに坂の上にある。登校時は辛いが、下校の時は何もしないでも
自転車は転がって行く。
雅子が校門の前にたどり着いた時、ベルが鳴り響いている。
「遅刻か〜。ちょっと待っていま行く!」
と、叫んでみても誰も居ない。
始業式は、全校生徒が講堂に集まり、
校長先生の訓示を受けるのだが、
その前に、クラス別けが発表されており、
自分のクラスを確認しないと、どのクラスの列に並ぶのか解らない。
雅子はクラスを確認することも無く、後列に身を置いた。
校長の訓示が終わり、解散となるのだが
雅子は自分のクラスが解らない。
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