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『彼のことが好き』という、まるで電気信号みたいな衝動が全身を駆け巡る。
下校途中の彼の後ろ姿を追いかけたり、調理実習で作ったクッキーを手渡そうとしたり、水族館デートに誘ってみたりもしたけれど、どれも結果は散々なものだった。
彼は濁った目をしたまま、感情の篭らない声で「今日は無理」「受け取れない」「その日は用事がある」と素っ気ない返事をするだけ。
その度に、なんだか胸の内に溜まっていた恋の水嵩がどんどん減っていくみたいに思えた。
恋っていったいなんなんだろう、いつまで経っても正解は分からないまま。
ただ、ひたすらに、私は彼のことが好きなままだ。
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