朝が来ました

11/14
前へ
/105ページ
次へ
「あっ、最近は片付いてるんですよ、私の部屋っ。  全然帰らないのでっ」 と壱花はあまり反論にならない反論をしてみた。 「おかげで宅配も受け取れないので、通販頼まなくなりました……」  しょんぼり言うと、高尾が笑って言う。 「もう壱花ちゃんの住所はここか、倫太郎の部屋にしたらいいんじゃない?」 「……ここに宅配便を届けられる業者の人は、きっと人間ではないですよね」  壱花がそう呟いたとき、倫太郎が一応、みんなの輪に入ってはいるが、何処か、ちんまり座っている部下の人に言った。 「それにしても、お手柄だったな、斑目の部下」  いい加減、名前、覚えろよという目で斑目が見ていたが。  そもそも斑目がこの部下の名前をみんなに紹介していないのだが――。  だが、なにも気にしない斑目は、 「おおそうだ」 と立ち上がり、レジの方に行った。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

687人が本棚に入れています
本棚に追加