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「そういえば、この間のクジ、まだ残ってたぞ。
お前、犯人捕まえたご褒美に一枚引け」
クジの箱を差し出された部下の人は、
「いえ、捕まえたのは、僕じゃなくて。
式神たちと、水無月社長や壱花さんたちです」
そう照れて言いながら、左右に狛犬のように座っている白い犬たちを撫でていた。
「まあ遠慮せずに、ほら。
景気付けに」
部下の人の顔色は、すっかり良くなっていたが。
壱花は思い出していた。
そもそもこの人、この式神たちがヒトガタでうろついているのを見て、幻覚を見たっ、と青くなっていたのでは――?
……いや、まあいいか、と思ったとき、斑目に急かされ、部下の人は箱に手を突っ込んだ。
「ありがとうございます」
と彼が取り出したクジを斑目が即座にバリッと開ける。
読み上げた。
「凶 なにかが起こる」
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