朝が来ました

12/14
689人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
「そういえば、この間のクジ、まだ残ってたぞ。  お前、犯人捕まえたご褒美に一枚引け」  クジの箱を差し出された部下の人は、 「いえ、捕まえたのは、僕じゃなくて。  式神たちと、水無月社長や壱花さんたちです」  そう照れて言いながら、左右に狛犬のように座っている白い犬たちを撫でていた。 「まあ遠慮せずに、ほら。  景気付けに」  部下の人の顔色は、すっかり良くなっていたが。  壱花は思い出していた。  そもそもこの人、この式神たちがヒトガタでうろついているのを見て、幻覚を見たっ、と青くなっていたのでは――?  ……いや、まあいいか、と思ったとき、斑目に急かされ、部下の人は箱に手を突っ込んだ。 「ありがとうございます」 と彼が取り出したクジを斑目が即座にバリッと開ける。  読み上げた。 「凶 なにかが起こる」
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!