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「まあ、そんなに凶ないだろうからな」
そう呟いた倫太郎は迷わずクジをとると、バリッと開いた。
みんなが覗き込む。
「大凶だ」
「大凶ですね」
「……ほんとうに容赦ないですね、このクジ」
「っていうか、また『なにかが起こる』なんだけど。
作ってる途中でめんどくさくなったんじゃないの? これ」
と高尾が笑った。
倫太郎は急ぎ足で押しピンをとってくると、柱の高い位置に止め、手を叩きはじめた。
「あっ、私のこと雑だとか言っといてっ。
自分もやってるじゃないですかっ。
っていうか、何故に私が刺したクジの上にっ!?
行けっ、式神っ。
あのクジ落としてきてーっ」
そう叫びながら、壱花はまたヒトガタとともに、自らも突進していった――。
『安倍晴明の恩返し』完
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