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「いやいや。
ない胸だが、触ってはいけないかと思ってな」
一言余計です、社長、と思いながら、胸にある白いヒトガタの紙をつかみ、起き上がる。
紙は六枚あった。
「そういえば、こんなの、今、安倍晴明さんに夢でもらいました」
遅れてやってきた冨樫が驚いた顔をする。
「安倍晴明?
入り口の?
あれ、偽物じゃないのか?」
「そのはずなんですけど……。
あの人形の晴明さん、ホンモノと何処かでつながってるんですかね?」
朝の光の中で見ると、その紙はただのペラペラした白い紙のように見えた。
「……A4、コピー用紙で大量に作れそう」
壱花は、そうぼそりと言って、
「このバチ当たりめ」
と倫太郎に言われてしまった。
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