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「そうこうしているうちに、三人になってて。
歩いているうちに、よく見た通りに出たんですよ。
ああ、このビル街の通り。
昔、通ってた塾の近くだなー。
お前たちとこうやってよくしゃべりながら歩いて帰ってたけど。
あの頃は未来の何処かに希望がある気がしてたよなーとか話してて。
ふと見たら、公園の前に駄菓子屋みたいなものがあったんですよ。
昔はなかったのに」
ん?
「なんか赤提灯とか下がってたから、もしかしたら、駄菓子屋に見えたけど、呑み屋だったのかもしれないですけどね」
……その呑み屋みたいな赤提灯の駄菓子屋は、うちのあやかし駄菓子屋では、と冨樫は気がついた。
生活に疲れていたようだから、迷い込みそうになったのだろう。
だが、彼らは、行ったら浮世の憂さが晴れるというより。
店員たちが呑気すぎて気が抜けるあの駄菓子屋に行きそびれてしまったようだ。
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