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「なんて使えない奴なんだ」
と呟いた倫太郎は、ふと、眉をひそめた。
なにごとか考えているようだ。
「そういえば、式神って自分に変化させたりもできるんですよね?」
そう言ったあとで、冨樫は式神をじっと見つめている。
……仕事を代わって欲しいのだろうか。
日々疲れているのかな、と思いながら、壱花は言った。
「そうか。
式神、私自身にもなれるんですよねっ。
ということは、私をもうひとり出せば、仕事の処理能力も二倍になりますねっ」
「風花が二倍になってもな……」
まあそれで、ようやく一人前か、と冨樫が言い、
「面倒ごとが二倍になるだけじゃないか?」
と倫太郎が言う。
だが、なにごとにも行動が早い壱花は、その瞬間、すでに一枚とって命じていた。
「私になあれ」
「考えなしに使うなーっ」
と男二人が叫ぶ。
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