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ヒトガタはまたヒラリと床に落ち、ミニ壱花が現れた。
「……ヒトガタのままのサイズにしかなれないのか」
「びっくりするくらい役に立たなさそうですね。
風花じゃなくても」
いつぞや駄菓子屋で大量発生したミニ壱花より、さらに小さい。
そのミニミニ壱花は、倫太郎のデスクによじのぼると、何処かでもらったのか、デスクの上に、二、三個置いてあった飴を引っ張りはじめた。
「ほんとうに役に立たないな、どっちも」
倫太郎はミニミニ壱花に飴の袋を開けてやりながら、そう呟く。
最初のお掃除の式神も、隅々まで綺麗な社長室ではすることがなく、ただ揺れているだけだった。
「壱花、式札、六枚しかないんだろ。
無駄にするなよ」
と言った倫太郎だったが、揺れている式神を見ながら、また眉をひそめる。
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