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「社長、シャツを取り替えたらいいんじゃないですか?」
そう壱花が言うと、おおそうだな、と倫太郎は冨樫の着ていたシャツと自分の白いシャツを交換する。
倫太郎は羽織る前に、その冨樫の父の物であるチェックのシャツのタグを見て、
「なるほど、これはお父さんのだろうな。
このブランド、ずいぶん昔に統合されて今はもうない」
と呟いていた。
冨樫は白いシャツの上にグレーのベスト、という格好になったので、かなり服装の印象が変わっていた。
一方、倫太郎はラフなシャツに、かっちり仕立てられたスーツの下という、いでたちになり。
いまいち、ちぐはぐな感じだ。
「この格好で人に会いたくない。
今すぐ帰ろう」
と倫太郎は壱花たちを急かす。
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