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この犬、確か本体は式神だと言っていた。
人に襲いかかることはあるまい、と思いながら、追いかける。
犬は襲いかかったりはしなかったが、突然、わんわんわんっ、とある人物に叫びかかった。
「あっ」
と部下は叫ぶ。
犬が吠えかかっている男は自分のスーツを着ていた。
「銀行強盗ーっ」
いや、ほんとうに銀行強盗なのかは知らないが、状況的にそんな感じだった男に向かい、部下は叫ぶ。
そのとき、すぐ側でいきなり声がした。
「見つけたんですかっ?」
「お手柄だっ。
よくやったぞ、斑目の部下っ」
肩に式札を乗せた壱花と倫太郎、そして、冨樫がいつの間にか真横に立っていた。
いい天気なのに、三人は霧の中にでもいたかのように、服や髪がしっとりしている。
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