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「銀行強盗だっ。
捕まえろっ」
倫太郎が男を指差し叫ぶと、男の周囲にいた人たちが慌てて彼を抑え込もうとした。
普通、強盗かもしれない男にいきなり飛びかかるのは怖いと思うのだが。
倫太郎のよく響く声には、つい、その声の命令に従ってしまうなにかがあった。
「よしっ、行けっ、式神ーっ」
と叫びながら、壱花が男に向かい、突進していく。
彼女についていたヒトガタの式神がふわりと舞って、男の目に張り付いた。
わあああああっ。
走って逃げようとしていた男はいきなり視界を塞がれ、転倒する。
急いで他の通行人たちと倫太郎が男を取り押さえた。
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