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部下の人から服を奪った強盗未遂犯は警察に連れていかれた。
「外に出たまま朝を迎えると、ベッドにも戻れず、妙なところを彷徨う羽目になるんだな」
帰って着替えなければ、と倫太郎がタクシーを捕まえようとしながら呟く。
「今回はいろいろあったので、イレギュラーな感じもしますけどね」
冨樫はそう言ったあとで、小首をかしげていた。
「でもあの霧のあやかし山。
あの強盗の人は、父の服のせいで迷い込んでいたんだし。
自分も父のことを考えていたせいで、迷い込んだんだと思うんですが。
なにもなしにいきなり、いきなり、あの山に現れた社長たちが怖いです……」
すっごいナチュラルに現れましたよね、と言う。
もはや、あなたがた、すでに、あやかしサイドにいるのでは? という口調だった。
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