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目が覚めると、そこは薄暗く手狭な空間だった、壁はそれぞれ別の色がついているように見えるが暗くてよくわからない。
A「え……なに?………ここ、どこなの!?」
さっきまでいた寝室とは明らかに違う空間に女性は戸惑いを隠せない。
A「彩香!?彩香はどこ!?」
少女の姿はない。
女性は取り乱しつつも状況を確認すべく辺りを見渡す。
A「何なのよ!!彩香!?彩香いる!?」
トゥルルル。トゥルルル。
A「ヒッ!?」
突如として響き渡る電子音。
聞き慣れた、まるで電話の呼び出し音のような音だ。
A「な、何…!?これ、電話…?」
音の方を辿ると、電話の受話器のようなものが壁にかけられている。
受話器のコードは直接壁に繋がっており、ボタン等は存在しない。
A「何なのよ…。」
女性は少し躊躇(ためら)うが、恐る恐る受話器を手に取る。
A「……………………。」
受話器から音はしない。
A「あ、あの…!」
????「皆様おはようございます。」
意を決したように声を上げる女性を遮るように、向こう側から音声が響いてくる。
女性とも男性とも取れない人の温かみを感じない、なんとも奇妙な声色だ。
????「あなた方はワタシが人間を学ぶために連れてきました。人間の中身を知るために。あなた方が帰る方法はただひとつ、“ワをなす事”それに気付くこと。制限時間は2時間それではこころゆくまで人間をみせてください」
一方的にそれだけ言い終えると、声の主の気配は消える。
どういう事かと混乱していると、空間にパッと明かりが点る。
ピッ。
同時に後方から電子音が鳴り、反射的に振り返ると、後方の壁には電子タイマーのようなものが表示されていた。
タイマーは2時間。
女性は背筋が粟立(あわだ)つ。
タイマーが0になったらどうなるのか、未知なる恐怖が女性の心を支配する………。
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