第二次白台ギルド戦争

12/12
前へ
/64ページ
次へ
 カウンターアタックを開始した。  全部隊が全速力で前へ駆け出す。その光景は、見ていて痛快だった。僕らも前の集団に置いて行かれない様に付いて行く。  みんなが周りの景色が目に入っていない程に集中している。気持ちは分かる。もし、本陣を切り崩して勝利することができたら、大金星なのだ。  やがて、四頭のスターピープルが先頭の集団に追いつく。流石、名馬だ。最前列にHAKUAIちゃんが見える。僕は、彼女にいいところを見せたいと、愛のボルテージはMAXになっていた。  HAKUAI「敵の本陣はもうすぐだよ! みんな、頑張って!」  気合いが入っている。それもそうだ。ギルドリーダーとして、これ以上のチャンスはもう訪れないだろう。部隊は最高速で相手の本陣を突き崩そうと進む。  敵のプレイヤーが見えて来た。相手は、最大級の礼儀として、みんなで敬礼するアクションを見せている。その光景を見て、僕は泣けてきてしまった。  そして、相手の本陣にまでなだれ込むことに成功した部隊は、ほとんど時間をかけずに、フラッグを勝ち取ることに成功した。  HAKUAI「勝利だよー!!」  一同「「うおおおー!」」  一斉に歓声が挙がった。ギルド「白台の大樹」は、大金星をあげることに成功した。   第二次白台高校の戦争は終わった。  ――。  打ち上げが開始された。僕はみんなから祝福の言葉を次々と言われ続けた。  見事にMVPを取った僕は、祝福の賛辞と共に、チームのリーダーになることが確約された。  遂に幹部になれたんだ。  僕はこの何とも言えない気持ちを表現できず、喜びのあまり泣いてしまっていた。  SKY「やった! みんな! ありがとう!」  MILK「よくやったよ、君は」  TOBIUO「お前がいなかったら、うちのギルドはここまで来れなかったよ。ありがとうな」    HAKUAI「これからの新しい幹部にみんな、最大の拍手を!」  パチパチパチ。  おめでとう! SKY!  これでYUUKIに最高の報告ができる。彼は戻って来てくれるだろうか?  そうして、打ち上げが終わり、僕はチームのメンバーと話を少ししてからゲームからログアウトした。  すぐに僕はLINEで悠木に勝利の報告をする。 「YUUKI! ギルド……勝ったよ! 早く帰って来てくれると嬉しい。僕らの戦争はまだこれからだよ」  すぐに中間テストの時期が始まった。僕は、ひたすらに徹夜で勉強をして、何とか課題の範囲をクリアした。  こんな勉強法は始めてだ。僕は元々コツコツとやるタイプで、一夜漬けは得意な方ではない。それでも遅れを取り戻そうとして、必死で勉強した甲斐があってか、内容は何とか頭に入った。これで本番でクリアできるかどうかは分からない。ただ、僕はみんなでやったゲームのことを忘れることはないだろう。それがあるからテストの成績がどうであろうと悔いはないと思う。みんなとの思い出が作れたことを僕は感謝した。  テストが終わり、悠木からメッセージが返って来た。 「SKY! 幹部おめでとう! 今のお前、なんか格好いいよ。それほどお前が言うなら、仏心に戻って来ようかと思うんだ。今日は疲れたから明日アクセスする。これからも宜しくな!」 「ありがとう、YUUKI……仏心で待ってるよ。またメンバーのみんなで狩りをやろうね」  僕は嬉しくなって、Lサイズのピザを注文してしまった。僕の好きなマルゲリータだ。これを今日は一人で食べよう。僕はお腹が痛くなることを覚悟して、ゲームとは違う別のミッションにチャレンジするのであった。  そして案の定、動けなくなった。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加