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懐かしの五人での狩りを終えた、僕らはギルド本部へと来ていた。
同盟情報の真偽を確かめる為である。中に入るとHAKUAIちゃんが居た。僕は、少し緊張した様子で話しかける。
SKY「HAKUAIちゃん、こんばんは。中間テストお疲れ様。ところでちょっと話があるんだけど」
HAKUAI「わかってる、同盟のことね」
ちょっと待っててね……とHAKUAIちゃんは、情報を整理している様子だった。
HAKUAI「YUUKIくん、復帰したんだね。まだまだこのゲームでやり残したことあると思うし、これからも一緒に頑張ろうね!」
YUUKI「おう、これからも宜しく!」
HAKUAI「同盟のことなんだけどね」
HAKUAI「うちのギルドは、白蛇の大地と同盟を結ぶことに決まりました」
やっぱりか……つまりそれは、大規模ギルドを目指すということになるだろう。これから、学校としてのギルドの立場はどうなるのだろう。一抹の不安を覚えたが、それを言葉にすることはなかった。
HAKUAI「うちのギルドはランキング一位を目指します!」
……ランキング一位。
すると、ギルド王者の円卓の騎士を倒すということになる。これからの目標はそれになるのだろうか。同盟を組めば、ギルドは総勢170名。充分、円卓の騎士を倒すことが可能だ。
HAKUAI「意見があれば聞くけど……SKYくんは何かあるかな?」
SKY「ランキング一位を目指すということは、最強ギルドとして君臨する訳だけれど、学校のギルドとしてはそれはいいの?」
HAKUAI「もちろん、SKYくんが言いたいことは学校のギルドとしてやって行きたかったってことだよね? 同盟はいつでも解散できるし、それは可能だよ」
SKY「分かった。HAKUAIちゃんの決定に任せます。あ、僕からも条件があるんだけれど」
HAKUAI「うん、何?」
SKY「高校生活の思い出として、三年間でキメラアントの巣を攻略すること。これを飲んでくれたら、僕としては言うことないです」
HAKUAI「そんなことでいいの? うん、それは全然構わないけれど」
SKY「じゃあ、これで話は終わりかな」
HAKUAI「あ、SKYくん」
HAKUAI「幹部昇進おめでとう」
……。
SKY「うん、ありがとう」
話が終わり、僕とYUUKIはギルド本部から退出した。
YUUKI「よかったのか?」
SKY「ん? 何が?」
YUUKI「お前、HAKUAIちゃんのこと好きなんじゃなかったのか? このままじゃお前、告白できずに青春終わっちまうぞ」
SKY「いいんだ、それも青春だろ」
YUUKI「お前、達観してるなあ。分かったよ。お前のやりたい様にやればいいさ。俺はお前に付いて行くよ。SKY、これからも宜しくな!」
SKY「こちらこそ」
そうして、僕らのテスト休みは終わった。これからは、リアルも頑張って行こう。なぜか僕はそう思った。
「お母さん」
「何? 未来?」
夕食の席で、僕はお母さんに話しかけた。いつもなら黙々と食べているはずの僕の態度にお母さんは意外な顔を見せる。
「僕、ゲームクリエイターになりたい」
お母さんはきょとんとしていた。
「そう。未来がそう決めたのなら、やってみなさい。話はそれで終わりなの?」
「うん」
「分かった。ほら、早く夕食を食べてしまいなさい。あ、野菜も残さずにね」
野菜は余計なお世話だよ。と僕は言いながら、箸で野菜をつついた。
これからは、勉強も頑張ろう。どちらにしろ、大学に行かないと、その夢は叶わないものな。
でも……。
僕の未来はこれで少しは見えたのかな。
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