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ゆるい、ゆるい音楽に合わせて踊っているサンタさん。
ハイビスカスの飾りの付いたドリンクを、ストローで飲んでいるサンタさん。
サングラスをかけて手足を伸ばしているトナカイさん。
ここはコバルトブルーの海辺。サンタさんとトナカイさんは忙しかったクリスマスが終わった後、ここで休息を取ります。
サンタさんとトナカイさんのお仕事は、子供たちにプレゼントを配るだけではありません。
サンタさんは子供たちの欲しい物を探し集めたり、きれいに包んでリボンを掛けたりしなくてはいけません。
トナカイさんは重い荷物を運ぶので、体力作りをしなくてはいけません。
だからクリスマスが終わった後だけのんびりできるのです。
「ハロー」
赤い海パン姿のサンタさんが、ビーチパラソルの下で手紙を読んでいるアロハシャツを着たサンタさんに声をかけました。
「子供たちからのお手紙だね」
「そうなんだ。お礼の手紙やお願い事の手紙まで色々あるよ」
海パンのサンタさんに、アロハシャツのサンタさんがその中の一通のお手紙を見せました。
「その子の頼みを聞いてあげようと思うんだ」
アロハシャツのサンタさんが言いました。海パンのサンタさんがその手紙を読みました。手紙はこう書いてありました。
『サンタさんへ
わたしのパパとママは、サンタさんはいないって言います。だからクリスマスの前に書いている欲しい物リストを捨てるんです。だからわたしはこの手紙を学校で書いています。見つかると捨てられるからです。
サンタさん、どうかわたしをサンタクロースにして下さい。そうすればきっとパパとママもサンタさんがいるってわかってくれると思うのです』
海パンのサンタさんは手紙を読み終えるとこう言いました。
「この子をサンタクロースにはできないけど、この子の両親にサンタの工場や倉庫で働いてもらおうか」
「それはいい考えだね。サンタ不足で毎年バタバタしているから丁度いい」
アロハシャツのサンタさんは言いました。それからアロハシャツのサンタさんは、その子に返事を書きました。
『きみをサンタクロースにすることはできないから、パパとママにサンタの仕事のお手伝いをしてもらうことにするよ』
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