age.??

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age.??

age.??  あれから随分と時が経った。いつまでも若く変わらない容姿のナツキと、順当に年を取って老人となった僕。数年前からは病院での生活を余儀なくされているけれど、ナツキはずっとそばにいてくれた。寄り添う姿は、決して親子にも恋人にも見えなかったけれど、ナツキはどこまでも優しく僕を看病してくれた。  そんなある日。持って数日です、医師にそう宣告された僕は、病院の個室に移っていた。あらゆる体の器官が弱り、自力で起き上がったり歩くことすら難しくなってきたところだった。そんな状態になって何年か経つけれど、最近の自分自身の弱り方はこれまでとは違うとわかる。いよいよ本当にこの世とお別れすることになるのだろうと、その時を待つばかり。   それは、ナツキとの別れを意味していた。 「お前、本当にこれでよかったのか? 結婚もしなかった。子どもも作らなかった。俺以外のやつと、家族になろうとしなかった。そのうちにどんどん老いて、色んなところが悪くなって、やつれて、じじいになっても俺とずっと一緒にいた」  ナツキは僕の手を握り、独り言のように呟く。 「それが、どうしたの……?」 「これでお前は、幸せだったのか?」  ナツキらしくない、弱った声。最近、特に元気がないように見える。僕との別れを、寂しく思ってくれているんだろうか。それとも、人間じゃないナツキには、僕がもうすぐ死ぬことをわかっているんだろうか。  僕は弱々しくも、ナツキの手を握り返してゆっくり口を開く。 「僕は……幸せだったよ。一生を大切な人と過ごせたんだから。ナツキと少しでも長く一緒に生きられるように頑張ったんだけどな……やっぱり限界だね。まあでも、もう悔いもないよ」  瞼がすごく重たい。眠ってしまいそうだ。いよいよなのかな。  少し目を瞑って深く呼吸をすると、握られた手に力がこもる。聞こえてきたのは、ナツキの今にも泣きそうな声。 「おい、寝んなよ……。残される側の気持ちわかるか……? お前に……」 「……わかんないよ。でも、残していく側の気持ちもわかんないでしょ……?」 「うるせぇな……」 「ありがとう……ナツキ。僕を拾って育ててくれて。親であり、一緒に育った兄弟であり、でも親友みたいな、でもパートナーみたいな、とにかく大切な人。どうしたらまだ一緒にいられる……? 僕……生まれ変われば、またナツキと会えるかな……?」  僕は最期の時まで愚か者だ。こんな時にまで、ナツキを困らせるようなことが口をついて出る。  ナツキはそんな僕の問いかけに、意外にも真面目に答える。 「き、きっと会える……!生まれ変わったお前を、どんな姿になってても、必ずみつける……! 俺のことを覚えてなくても、またずっと一緒にいられるように……どうにかする!」 「……っはは、嬉しいな……。その言葉が聞けただけで、十分、だな……」 育ての親と僕。 最期を看取り静かに涙を流す少年と、笑みを浮かべながら息を引き取る老人だった。 end.
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