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age.4
age.4
公園で遊んだ帰り道。なかなか帰ろうとしない僕をおいて、ナツキは先に帰ろうと歩き出す。まだ小さかった僕が追いかける彼の背中は、すごく大きかった。
「ねぇ、待って……おいてかないで……!」
置いていかれそうになっていることに気付き、ナツキを追いかける。子どもの足で走っても追いつかなくて、その様子を見るに見かねた彼は、呆れ笑いしながらも立ち止まって、手を差し伸べて待っていてくれた。
「……ったく、しょうがねぇなあ。早く来いって」
ぶっきらぼうな口調だけど声音は優しい。何だかんだ僕のことを思ってくれていることが、子どもながらに伝わる。その手を握るといつも温かくて、必ず握り返してくれる。
「今日の夜は、何食いたい?」
「オムライス!」
「またかよ、好きだなー」
「ナツキがつくるオムライス!がいい!」
「わかったわかった。作ってやるから。落ち着けって」
育ての親と僕。
二人から伸びる影は、親子そのものだった。
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