age.16

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age.16  僕は、生後間もなく公園に捨てられていたそうだ。それをナツキが気まぐれに拾って育ててくれた。そんな僕にとって、ナツキは育ての親だった。彼は人間ではなくて、"限りなく不老不死に近い異界の住人"らしい。最初は信じられなかったけれど、僕はそんな彼の存在を受け入れ、肯定している。  なぜなら、僕は高校生になるまでに身長も伸びたし声変わりもした。なのにナツキはというと、今と昔を比べても容姿が全く変わっていないし、肌に傷が付いても尋常ではない早さで治るところを何度か見たことがある。  そんな彼と僕は今、肩を並べて歩いている。 「お前、大きくなったな。目線同じくらいになってるし。人間の成長早すぎだろ」 「ナツキの成長が遅すぎなの。ちょっとは老けなよ」 「なんだそれ」 「だってこのままじゃ……」 「んー? なんかいったー?」 「いーや、なんでもない! それより今日の夕食何にするの?」 「ご飯、味噌汁、肉野菜炒め」 「えーーつまんない。ナツキが作ったオムライスがいいんだけど!」 「はぁ?! なんでそんなめんどくせぇもん今から作らなきゃいけねぇんだよ」 「僕が久々に食べたいから。ね? いいでしょ? 遅くなってもいいからさー」 「……ったく、しょうがねぇなあ」  ナツキは今も昔も変わらない。ぶっきらぼうで、口が悪い。面倒くさがりだけど、何だかんだ僕の願いを叶えてくれる。  いつの間にか、僕とナツキの背丈と見た目の年齢は、変わらなくなっていた。 育ての親と僕。 並ぶ二人の後ろ姿は、仲のいい兄弟や友のようだった。
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