番犬が牙をむく

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番犬が牙をむく

その日は突然やってきた。 俺はいつものように、理久が帰ってくるのを部屋の窓から見ていた。 今日も理久が安心して眠れますように。 俺の願いはそれだけ。 理久への淡い恋心は、とうの昔に胸の奥にしまい込んだ。 俺は、理久の1番近くに居られればそれでいい。 理久の笑顔を守ることが俺の幸せだ。 理久は俺の事をよく〝番犬〟と呼ぶ。 上等じゃないか。 理久に寄り付くわるい虫を俺が全員追い払おう。 理久に近づいていいのは俺だけだ。 俺は敵意剥き出しで、理久の周りの男たちを排除してきた。 それはこれからも同じだ。 そう思っていた。 「おい...嘘だろ...」 窓から見える光景は俺の錯覚か? 理久が俺の知らない男に抱き締められている。 この時、俺の中の何かが壊れる音がした。
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