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その日から毎日、俺は理久と過ごすようになった。
朝、理久を家まで迎えに行くのが俺の日課になったのもこの頃だ。
眠そうな理久の手を引いて、学校までの道のりを歩く。
俺は理久のボディーガードだ。
理久を傷つける全てのものから彼を守る。
本気でそう思っていた。
月日は流れ、俺たちは中学生になった。
思春期を迎えた俺と理久だったが、相変わらずいつも一緒に居た。
俺達にはそれが当たり前だった。
だが、周りの目は違った。
ある日の放課後、委員会を終えた俺は理久が待つ教室へと急いだ。
「理久、お待たせ。」
「宗ちゃん、お疲れ様。」
「帰ろうか。」
「うん。」
俺たちはいつものように並んで帰り道を歩いた。
ただいつもと違うことは、理久が何も話さないこと。
理久の異変に気づいた俺は、彼に問いかけた。
「なんかあった?」
「変だって。」
「何が?」
「俺と宗ちゃん。男同士なのにって。」
「誰が言ってた?」
「噂になってるって。」
理久は俯いた。
「宗ちゃんは俺を守ってくれてるだけなのに、俺のせいで周りから変な目で見られてる。ごめん。」
「なんで理久が謝るの?俺が理久と居たいからそうしてるんだよ。」
「でも……」
俺は理久の手を握った。
「誰かに見られたら大変だよ。」
「言いたい奴には言わせておけばいい。俺はそいつらより、理久の方が大切だから。」
「宗ちゃん……」
「だから、自分のせいとか思うなよ。」
俺は理久に微笑んだ。
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