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涙をこらえながら窓を眺めていると後ろで、僕しかいないこの部屋で聞こえることのないはずの音を聞き振り返る。
そこには、一人の少年がいた。
少年は、棚に座り、膝を立て、口を大きく広げて七面鳥にかぶりつく。
僕の誕生日ディナーを、粗末に、そして豪快に腹の中へと収めていく一人の少年が
僕の好物なのに!という怒りよりも先に驚きがやってきた。
彼は僕と同じくらいの12,3歳といったところだが、200人体制の警備をするりと避け、そして最上階付近に位置する僕の部屋まで来たのだ。凄いとしか言いようがない
「王様ってのも大変だな」
好きなだけ食って満足した彼は、部屋の金品をあさりながら言った。
僕の部屋で僕の前で盗んでいながらだ。
堂々と盗みをする彼にも情けをかける心は残っていたらしく、僕にこう問うてくる
「うまい食事と、大量の金品財宝の代わりにお前を頼みを一つ聞いてやる。国をひっくり返すほど頭が切れる俺様が直々に願いを聞いてやる。」
彼は、少年らしい無邪気な笑顔でそういったのだ。
部屋のものを上げるなんて一言も言ってないんだけどな、、、、
『願い』という言葉を聞き思ったこと、、
ーここ最近、いやここ数年待ち望んでいたこと
それは、『外の世界に行くこと』
それなら答えは決まり切っている。
レイは間髪入れずに答える。
「僕と入れ替わってよ。」
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