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ぶたないで
お父さん、帰って来て欲しくない。
お父さんは、お母さんをいつも殴ってる。
いくつも肩や背中が青くなった。
それで私たちは泣いているけど。
お父さんは、私たちをいじめるために帰って来るのなら、もう帰って来て欲しくない。
だけど、お父さんがいなくなってしまったら、なぜだか涙が出てしまう。
だれのことも殴らないお父さんなら、良かったのに。
お父さんは、お母さんが嫌いなのかしら。
私の事もいつか殴るのかもしれないね。
今日はドアにはまっていたガラスが割れた。
割れたガラスは、お母さんが片付けた。
お母さんは泣いてなんかいない。
だから、私も泣かない子になるって決めた。
お父さんが優しいお父さんだったら、私はもっと幸せなのかな。
男の子はいつか、みんなだれかを殴る日がやって来て、女の子を泣かせるのが好きなんだわ。
私は橋本くんが好きだけれど、彼もいつか私を殴るのかもしれないね。
だけど、私はお父さんが嫌いになれない。
そういうのを好きっていうのかもしれないけれど、私は好きって言えない。
橋本くんの事も好きって言えない。
いつか、お父さんとも橋本くんとも戦わなければならないかもしれないから。
ぶたないで。
痛いんだよ。
心が痛いって叫ぶよ。
お母さんがだまって殴られているのを見たくない。
その悲鳴が聞こえる。
私はいつかお母さんを助けるために、お父さんを倒さなければいけない。
大好きな人を守るために、大好きな人と戦わなければいけない。
私は泣かない。
お母さんも泣いてなんかいないよ。
アザがいくつになっても、だまって殴られているの。
私たちが叩かれないように、守ってくれているから。
だから、私はお父さんにも橋本くんにも好きって言えない。
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