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好きって言えたらステキな事だよね
いつか大好きな人たちに、好きって言えたらステキだなって思う。
でも、私の目から涙が流れなくなったのと同じで、口は好きって言葉を話せなくなった。
私がもっと賢ければ、その簡単な言葉を話せたのかな。
橋本くんは、私と目を合わせてくれないよ。
どうしてだか考えてみると、私の事を好きになったらいけないと思っているのかもしれないよね。
私もお母さんを殴るお父さんを好きになったらいけない、と思っているから。
本当は好きだけど、言ってはいけないの。
橋本くんだって、私を好きになったら今までよりももっといじめられるから、好きになれないのかもしれないよね。
言葉を忘れたわけじゃないけれど、好きって言葉は深い森の中にかくてしまったよ。
そこには大きなカギがかかっていてね、私はすぐにカギを忘れちゃうから開けられない。
カギが空からフワリと舞い降りて来ないかな。
そうしたら、私はあかねの空に見える雲に「好き」って叫ぶよ。
お母さんにも、お父さんにも叫ぶよ。
「大好き」
橋本くんにも言えるよ。
「大好き」
好きって言葉を言えたらステキな事だよね。
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