橋本くんの夢

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橋本くんの夢

探し続けるけど、橋本くんは見つからない。 私と目を合わせてくれなくてもいいから、私はせめて夢の中で会いたいと思っている。 夢は自分で好きなように変えられる物語じゃないのかな? 私はその中で何度も空を飛んだ事がある。 すると、いつも体がとっても重たくなってきて、沈んでいくんだよ。 夢は、自分の願う事がかなう世界じゃないのかな? ポケットからお財布を出しても、開けてみると空っぽで、パンも買えない。 お腹が空いて、あのおいしい焼き立てのパンが食べたいな。 お財布にはお金がないの。 まるで本当の世界といっしょだね。 でも、学校に行けば橋本くんに会えて、パンも食べられるから。 たとえ目を合わせてくれなくてもいいんだよ。 夢の中のパンには味がないけれど、学校で食べられるパンには味があって。 学校に行けば、ご飯が食べられる。 お腹がいっぱいになれるんだ。 私は太りたくないから、学校の給食だけでいいよってお母さんに言ってる。 お母さんはいつもお腹が空いている。 私におかずを分けてくれて、自分は食べない事だってある。 私は太りたくないから、いらないよって言うの。 この世界にはまだ食べられる物をどんどん捨てる人もいるらしいけど。 私がかわりに食べてあげるのに。 私は夢の中で、見たこともないごちそうを前にして、橋本くんとパーティーを楽しみたい。 ステキな舞踏会(ぶとうかい)に呼ばれて、ピンクのドレスを着て踊りたい。 橋本くんが王子様になって、くるくる回って踊ると、私の事をほんの少しだけ好きになってくれるかもしれないから。 そうしたら、本当の事が言えるかもしれないよね。 好きだよって。 夢の中で伝えれば、だれもいじめたりはしないでしょ。
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