おばあちゃん

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おばあちゃん

おばあちゃんが大好きだったのに、もしかしたら一度も言ってない。 ありがとうって、言いそびれちゃった。 お金持ちだと思っていたおばあちゃんは、本当はお金持ちじゃなかった。 お金持ちのフリをして、私に色んなプレゼントをしてくれていたんだ。 おばあちゃんの家は古くて、小さくて、とっても汚かった。 壊れた物ばかりのおうちで、足を縮めて暮らしていたから。 だからヒザが痛い、ヒザが痛いって言ってたんだ。 お母さんが買えない物をいつも買ってくれた、おばあちゃん。 ランドセルはおばあちゃんが買ってくれた。 重たくて、重たくてランドセルを背負うのがつらかったけれど。 ある日それをけとばしているお友達を見つけて、涙が出てしまいそうだった。 それはおばあちゃんのプレゼントだから、おばあちゃんの心がふみつけられているように見えた。 なぜそんな事をお友達がしたのかはわからない。 私のランドセルはおばあちゃんが、本当はお金持ちじゃないのに買ってくれた物なんだ。 そんな事を知らない子がけとばしていたんだよね。 プレゼントはだれかの『好き』がつまった特別な物なんだよ。 私はおばあちゃんに、ありがとうを言えなかった。 さよならの時が来た時に、ありがとうを言うべきだったけど。 言えなかった。 (ひつぎ)に花をたむけただけのさよならで、ありがとうを言い忘れた事は後から思い出したんだけど。 もういなかった。 大好きな、おばあちゃん。 まだありがとうも、大好きも言ってない。 それを夢で会った時に言ってみた。 朝起きたら涙が出ていたから、きっと言えたんだと思う。 ありがとうって、言いそびれたら必ず後悔するってわかった。 私は大好きな人たちに「ありがとう」と「好き」を忘れずに言わなきゃダメってわかった。
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