終わりの始まり

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終わりの始まり

「ついでじゃないですけど、俺のこと看取ってください」  破壊力抜群の笑顔がテーブル越し耳元で囁き、デザートワインのように甘い息がかかる。  口をつけた炭酸が喉の奥にぎゅっと落ちて咽せそうになり、男の死んだ目が一瞬だけ見開く。  少し伸びた前髪を息で吹き上げ、できるだけ興味なさげに、男は「いいよ」と返事をした。
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