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家がもえていた。
はなれているのに、すごく熱い。
カケルくんの家も、わたしの家も、すっごくちかいから、火がとんだって。
あつまった人たちがはなしてる。
「恋人の浮気に怒った佐野さんが、激昂して火をつけたって聞いたわ…無理心中ですって…」
「違うわよ、放火だって聞いたわよ。千葉さんの家にって…救急車で運ばれたのは千葉さんの奥様?ご病気のお子さんいたわよね?大丈夫なのかしら…」
いろいろと言っていたけど、わたしにはまったくわからない。
むりしんじゅってなんだろう。
なんかの宝石かな…
ママとパパ?は、ぶじかな。
カケルくんのお母さんはきゅうきゅう車?
わたしは、カケルくんに「どうしよう?」と、きいてみようとおもった。
「カケルくん…」
カケルくんは、すこしうれしそうに「ニコちゃん、どうしようか…」と言った。
わたしは、カケルくんがわからない。
家がなくなっちゃってかなしくないのかな。
わたしはかなしくなかった。
でも『早くかえらなきゃ』いけないきがして、どうしたらいいかわからない。
「帰る家、無くなっちゃったね。」
「うん…」
「警察に…行こうか…」カケルくんがしずかにいった。
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