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カケルくんはわたしの手をにぎって、こうばんへむかった。 おまわりさんのおごりで、わたしたちはカツどんを食べた。 わたしはカツどんはじめて食べた。おいしかった。 カツどんを食べたあと、女のおまわりさんが、わたしの体を温かいタオルでふいてくれた。 ベタベタもとれて、さっぱりした。 女のおまわりさんに、ママについてたくさんきかれた。 「ママのこと好き?」 「ママは怒るとコワイ?」 「ママのご飯おいしい?」 他にもたくさんきかれて、わたしは全部しょうじきに話したのに、わたしが「ママは今どこにいるの?」ときいても、その人は「わからないの」と言った。 ほかのことをきいても、わからない人だった。 なんだかわからないけど、頭にきちゃう。 次から次へといろんな人が来て、わたしに話をきいて行ったけど、だれもわたしのしつもんにはこたえてくれなかった。 わたしはプンプンしたきもちのまま、こうばんのすみっこでカケルくんと二人、ふとんにくるまってねむった。 かえる家はもうないのに、『早くかえらなきゃ』と思って、なんども目がさめた。 そして、そのたびにカケルくんを起こしてしまった。 カケルくんはずっと、手をにぎってくれていた。 カケルくんがいてくれてよかったな…と思った。
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