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いつもの夢の中で
いつも壮太は同じ夢を見る。
小学校と中学校が合わさったような、校舎をつなぐ外廊下がある。
その外廊下の脇で壮太は友達と遊んでいる。
休み時間ではなく、日の傾きから行くと放課後で、上履きを履いていないところを見ると放課後、学校に残って遊んでいる様子だ。
友達は見たことがあるようなな無いような、壮太はとても楽しそうにしているが、実際にこの友達と同じクラスになったことはないと考えながら遊んでいる。
そして、景色は急に草原に代わる。
でも、校舎は存在しているし、西側に立つ校舎の作る影が遠くに見えている。外廊下の周りだけが急に陽を受けた草原になる。
壮太は誰かを追いかけ始める。さっきまで遊んでいた友達なのか、それまでいなかった誰かなのか。最初から鬼ごっこをしていたのか。
とにかく追いかける。追いかける。追いかける。
そして、壮太にはその先も分かっているのに追いかける。
追いかけた後、必ず壮太は穴に落ちるのだ。落ちることが分かっているので足元には気を付けている。しかし早く追いかけないといけない。そして穴に落ち、ハッとして目を覚ます。
そんないつもの夢。
今夜も壮太は同じ夢を見る。壮太を穴にいざなうのは誰なのだろう。
そのうち本当になりそうなリアルな景色のこの夢を、壮太はひっそりと恐れている。
【了】
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