狼さん 待ってま〜す

お船は……来なかったのかな？

　狼さんが、遠い島に流されてから、昨日が30日目だったはずです。ぴょんは、カレンダーに赤丸つけて、毎日見てました。

　日付が変わった０時30分に、狼さんのお家を見に行きましたが、まだ帰っていませんでした。

　お寝坊なお船さんかと、12時半に見に行っても、狼さんは帰って来ませんでした。
　お迎えの船が、来ませんでした。

——狼さんが帰って来るまで、寂しいから、ぽーくんって呼ぶね。勝手に呼び方変えてごめんね。

　ぴょんは考えました。今度ぽーくんにお手紙書く時は、狼さんが帰って来た時です。
　なぜなら、もし、ぽーくんがお返事言いたくなって、大きな声で叫んだら、大事なお喉が枯れてしまうから。

　ぽーくんは、カッコいいバンドマンです。ぽーくんはベーシストですが、お喉は大事です。だから、お手紙はお休み。
——ぽーくん、お喉大事にしてね。絶対無理して叫んじゃダメだよ。
——寂しくなったら、ぽーくんが、残してくれた、お話見に行くね。大丈夫だよ。だから、絶対に無理して叫んじゃダメダメダメ。

「ずっとずっと、みーんなで待ってるよー」