近所迷惑な彼女

6/14
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 2人が名残惜しそうに身体を離した頃、ぼくはいつの間にか固く握りしめていた手の中に、大量の汗をかいていた。  彼女に手を振る男の後頭部が視界に入り、ぼくは慌てて窓を閉めた。  カツン、カツン、カツン、カツン  ドクン、ドクン、ドクン、ドクン  いつものあの甲高い音と、自分の心臓の音が共鳴し合った後、バタンと隣家の扉が閉まる音が聞こえた。  その夜ぼくは、勉強をするのを諦めて、ベッドに潜り込んだのだった。  心臓は、身体の中心で、いつまで経っても暴れ続けていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!