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2人が名残惜しそうに身体を離した頃、ぼくはいつの間にか固く握りしめていた手の中に、大量の汗をかいていた。
彼女に手を振る男の後頭部が視界に入り、ぼくは慌てて窓を閉めた。
カツン、カツン、カツン、カツン
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン
いつものあの甲高い音と、自分の心臓の音が共鳴し合った後、バタンと隣家の扉が閉まる音が聞こえた。
その夜ぼくは、勉強をするのを諦めて、ベッドに潜り込んだのだった。
心臓は、身体の中心で、いつまで経っても暴れ続けていた。
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