近所迷惑な彼女

9/14

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 一体、どれ程の時間、そうしているのだろう。  ここから見ている限り、彼女は少しも動こうとしない。  あの車のエンジン音が遠ざかっていくのを聞いてから、ゆうに1時間は経っている。  ぼくの不安はみるみる膨れ上がった。  ぐったりと青白い彼女の顔が、脳内で鮮明に思い描かれた瞬間、ベッドに脱ぎ捨ててあった上着を掴み、ぼくは走り出していた。  ドタ、ドタ、ドタ、ドタ、と、近所迷惑な音を響かせて。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加